サラリーマンの中には私的年金としてNISAやiDeCoが推奨され、投資する人が増えていますが、低金利時代を反映して思った利回りを得られていない人が多いはずです。そこで、FXや株式ほどのリスクが高くなく、一定の利回りを長期的に得られると言われる不動産投資に力を入れるサラリーマンが多くなっています。もちろん、ある程度まとまった資金を不動産会社等に預託して賃貸用ワンルームマンションに投資する程度であれば就業時間に影響を与える行動をすることがありません。従って、会社との雇用契約や労働協約に副業禁止規定が記載されていて、会社にこの投資案件が知られても何ら、会社から指摘されることがありません。
ところが、金融機関から多額の住宅ローン融資を受けて手広く不動産投資するようになると就業時間にこうした副業に関する作業を行わざるを得なくなることがあります。こういう状況になると会社との雇用契約や労働協約に触れることになります。今日まで多くのサラリーマンは会社との取り決めに触れて万一の事態になることを考えてこうした副業を会社に内緒で行ってきました。この点で、最近、副業を前向きにとらえて兼業を認める会社が出てきたので、従業員が本業の仕事以外に好きなことに挑戦し始めています。しかしながら、この社会的変化がサラリーマンの前のめりな不動産投資を助長する恐れがあると指摘する専門家もいます。不動産相場がFXや株式ほど、短期間のうちに激しく乱高下しない投資対象だと見られているようです。
最近、現役引退後の年金生活では公的年金以外に老後資金として2千万円以上必要だと言われる話が独り歩きしています。現役サラリーマンの中には預貯金を殆ど持ち合わせていない人が結構多いですから、人生100年時代を迎えて若者や中年族の中には焦りを感じているサラリーマンが増えています。確かに、不動産投資は投下する資金が多くても長期間をかけて資金回収する積りであれば投資対象の一つといえます。投資する物件次第とはいえ、現役時代から早めに不動産投資しておけば老後になって定常的に収入が得られる可能性がありそうです。それほどに長い老後用の生活資金として公的年金で不足する金額を何らかの投資で蓄えようと焦りを感じている人が多いということです。「公的年金だけでは2千万円不足する」という話題の独り歩きには功罪がありますが、若いうちから老後をしっかり準備しないといけないことを気づかせたことは大きな“功”のはずです。現役中に会社の賃金上昇や退職金を期待していない若者や中年サラリーマンが多いということの裏返しと言えます。